2008年04月12日

名古屋コーチン・プリン

2008年04月07日(日)
Pさんと名古屋駅の地下街でお茶をしていた時の事。
Pさんが言った。
「名古屋コーチン・プリンって言うのがあってさあ…。 TV でやってて…。」
もうニヘドンは上の空であった。
「名古屋コーチンなら知っているが、名古屋コーチン・プリン!? 」
「名古屋コーチン・プリンなんて知らない。聞いた事も無い。」
グルメ街道を邁進爆進中のつもりのニヘドンの些やかなプライドは粉々に砕け散った。
と同時に、未知の「名古屋コーチン・プリン」の想像図が頭の中を駆け巡った。
プリンの上に、名古屋コーチンの頭が乗っかっている図である。
グルメ批評家が言う。
「う〜ん。このトサカの赤さがポイント高いですね〜。」
違うだろう。そんなプリンじゃないだろう。
数十分後、タクシー運転手さんにも「鶏肉が入っているプリンですかねぇ。」とギャグを飛ばし、
「いや、それじゃ茶碗蒸ですからね。」とマジレスされてしまった。
横浜に帰って来て Jurie ちゃんに「名古屋コーチン・プリン」の話をした。
彼女が想像した「名古屋コーチン・プリン」は、鶏の足のゼラチン質の部分を固めたもの。
「それじゃあ、名古屋コーチン・ゼリーですよね〜。」
Jurie ちゃんは自分で落ちをつけた。

「探しに行こう!」
場所は名古屋駅の地下街に戻る。
ところがお店の名前も何の情報も無い。
携帯で「名古屋コーチン・プリン」で検索してみた。
おお! いとも簡単にお店の名前が判明。
「葉豆希」(はずき)と言う。
早速店に電話をしてみる。
「今、名古屋駅に居るんですけど、お店の場所を教えて下さい。」
「はい。市バスの如意車庫前で降りて頂いて…」
ところがニヘドン、名古屋の地名に馴染みが無いので、
この「如意」(にょい)が聞き取れず、何度も聞いちゃいました。
余り聞き取れないので、漢字を聞いて、ようやっとの事で分かりました。
電話応対をする方、問い合わせは、想像も出来ない遠方からの場合もあるので、分かり易くお願いしますよ!
「名古屋駅に売店は出してないんですか?」この時まで、ニヘドンは「名古屋コーチン・プリン」は名古屋駅で入手出来ると信じていた。
「売店はございません。こちらのお店に来て頂かなければ。」
ガビーん。
Pさん、どうする?行く?
「行く。」
「よし!」
如意車庫行きと言う事は分かったので、バスの乗り場を探す。
交番のお巡りさんに聞いてみた。
「あそこの2階ですよ。」
え? 2階!?
ああ、なるほど。確かにビルの2階がバスターミナルになっていました。
目指すバスの乗り場を案内板で探し、その番号の乗り場に行くと、バスが丁度発車する所でした。あちゃー。
行っちゃったあ〜。
時刻表で調べると次のバスは30分後。
Pさんの帰りの新幹線の時間があるので、次のバスでは間に合わないだろう。
「タクシーで行こう!」
さっき検索してみたので、お店の住所と電話番号は分かっている。タクシーの運転手さんに住所を告げる。
「北区如意1丁目。如意車庫の近くです。」運転手さんは道路地図を開く。
「遠いよ〜。空港の近くだよ。」
「ああ、そうですか。」でもニヘドンに、具体的にどの程度遠いのかイメージは全くわかなかった。
「時間はどの位かかりますか?」
Pさんが運転手さんに聞いた。
「30分位かなあ。普段はもっと混んでいるから、40分以上はかかるよ。今日は日曜だから、そんなにかからないと思うけどさ。」
はははは…。でも今更引き返せないよ。
タクシーから外の景色を眺めやる。今日で見納めであろう満開の桜に囲まれた名古屋城の横を通る。
「ここさっき来たじゃん。」
実はニヘドン達、春日井から名古屋駅まで、とあるご婦人の車に乗せて頂いたのである。ついでに名古屋城の外周を桜見物の為、回ってもらったのでした。最初から名古屋コーチン・プリンの事を知っていたら、途中で下ろしてもらえたのになあ。まあ、いいや。他人が編集したガイドブックをなぞるだけの旅は素人さんに任せよう。風の吹くまま、気の向くまま、臨機応変に動くのが、熟女の旅の醍醐味よ!!
途中、大きな川を渡った。左手に真っ赤な太陽が沈みかけていた。線香花火の玉のように滲んで見えた。
「この橋も、さっき、ご婦人に乗せてもらった時に通った気がする。
如意に着いた時、運転手さんが誰かに場所を聞いた方が良いと言うので、タクシーを止めた所にたまたま通りかかった、地元のおばちゃん風情の女性に声をかけた。
最初、女性はニヘドンの事を胡散臭そうに睨んでいたが、
「葉豆希ってお店知りませんか?」と訊くと立ち止まってくれた。「ケーキ屋さんなんですけど…。」
そういうお店は知らないと、おばちゃんは言う。
ええええ……。
「でも喫茶店ならあるわよ。」
あ! やっぱり、さっきニヘドンの視界に入ったお洒落っぽいログハウスじゃない?
何かそうじゃないか!って気がしたんですよ。
タクシーに今来た道を少し戻ってもらう。
大きな看板には「葉豆屋」と書かれている。え? 「葉豆希」じゃないの?
結局、ケーキ屋さんの名前が「葉豆希」。その隣に出している喫茶店が「葉豆屋」だと言う事が判明。
辿り着きましたよ!!
タクシーに待っていてもらって、ケーキ屋さんに入ります。
とっても小さなケーキ屋さん。
ショーケースの1番下の右端に、我々がはるばる探し求めてタクシーを飛ばして来た例のブツがあった。
ふっふっふっ。
名古屋コーチン・プリンがあったよ〜。
でもショーケースに入ってるのは、たったの3個。
でも聞いてみたら、奥に在庫が有り、蓋をすればOKだとの事。
ニヘドンはとりあえずプリンを4個、はづきロールを1切れ、フエルトで作ったランドセルに入ったお菓子の詰め合わせを買いました。

帰宅後、頂きましたよ。「旨い!」
たかだかプリンで、こんなに美味しいなんて、食べた事のない人は想像も出来ませんよ。
レシピがどうのとか、パティシエの腕がどうのとか、そういうレベルではないんです。
素材!
これは正しく素材!!
名古屋コーチンの卵の実力を思い知らされました。
生きている間に、このプリンに出会えて良かった!
黄味色がものすごい濃いんです。そして濃厚。でもこの濃厚さは、混ぜ物をした作られた濃厚さではなくて、名古屋コーチンの卵が持っている自然の豊さ。ニヘドンは、今まで、色々旅行をして、チベットやエジプトや北朝鮮やエクアドルやベネズエラと言う、あんまり日本人にはポピュラーでない所まで行って、色々不思議な物を食べて来ましたが、これほど「自然の慈味」を味わえるものに出会えたのは、生まれて初めてです。
この名古屋コーチン・プリンは例えて言うとこんな感じ。
江戸時代、村の娘が突然、病に倒れた。村には医者がいない。隣村に病全般をよく直すと評判の婆がいたが、お城の姫君が恋の病に倒れ、婆は小判を10枚積まれ、お城へ行ってしまったと言う事です。村の娘は、日に日に痩せ衰え、口もきけない程弱っていった。村の衆は、薬草を煎じて飲ませたり、素人判断で作ってみた火傷用の貼り薬を貼り付けてみたり、大陸から渡って来た偉い陰陽師から譲り受けたと言うお札を枕の下に入れてみたりした。どんな事をしても娘の具合は良くならない。村の衆は万策つき果て額を寄せ合って、娘の布団の周囲におし黙って座っていた。
そこへ…。
「こんにちは。この村には、気のきいた『おされ』な茶店はないかしら? あ、私、石田藩藩主・泰尚公から密命を帯び、日本全国の美味しい茶菓子を訪ね歩いている『おニヘ』と申しす者。ありゃ、そこに臥せっているおなごはどうしましたか? 」
村の衆は口々に娘の具合がたいそう悪い事、医者にかかる金も無く、天からの迎えを待っている事などを訴えました。

お二へは、こう言いました。 「 丁度、尾張の国で、大層貴重なものを入手したばかり。 これを食べてみなはれ。」
お二ヘが行李の中から透明な入れ物に入ったものを取り出しました。
村の衆達は、皆身を乗り出して、それを見ようとしました。
お二ヘが蓋を取り、臥せっている娘の鼻先に持っていきました。 
入れ物からは、滋味溢れるふくよかな香りを空中に振りまいています。
村の衆達も鼻腔いっぱいに香りを吸い込みました。

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Posted by ニヘドン at 22:49│Comments(0)ケーキ
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