2020年07月10日

喜多方の「 めしや君影蔵 」で不思議な力に惹かれた。

喜多方 めしや君影蔵の外観2020年07月03日(金)
07月上旬に息子ちゃんと2人で
一足早い夏休みを過ごそうと、
信州で1週間過ごすツアーに申
し込んでいました。07月にはい
い加減にツアーは再開されるで
あろうと踏んでいたんです。 とこ
ろが! 「 ツアーは中止になり
ました。」と旅行会社から電話連
絡。 県を跨いでの移動はOKに
なっているのに、ガッカリでした。
  そこで、個人的に旅行に行く
事にしました。 行先はガラッと
変えて福島県の会津地方です。
04月19日に二へドンの父親が
新型コロナウイルスで亡くなり、
死因が死因なだけに葬儀も立ち
会いすら葬儀社から拒否され、
焼き場に行く事すら叶いません
でした。 せめてものお弔いの意
味で、「 父を偲ぶ会津旅行 」を
計画したのです。
  裏磐梯高原で2泊し、3泊目
は喜多方を選びました。 息子ち
ゃんは福島県は初めてだと言う
ので、是非本場の喜多方ラーメ
ンを食べて欲しいと思ったので
す。 喜多方駅から20分ちょっと
歩いた「 あづま旅館 」にチェッ
クインし、荷物を置いて夕食に喜多方ラーメンを食べる事にしました。
あづま旅館の前の細い道を真っすぐ、蔵造りの建物が多く残されている
「 ふれあい通り 」を目指して歩いて行きました。 もう少しで「 ふれあい通り 」と
言う手前に、なまこ壁の素敵なお店が有りました。 外には「 COFFEE 」と
書かれた看板が出ていて、看板の上には大きなコーヒーカップが置かれ、
何とそのコーヒーカップからはしゅんしゅんと湯気が出ていました。
1枚目の写真が「 めしや君影蔵 」の外観です。
白壁に蔦の葉が絡まり、この入り口だけ見たら、「 ここは倉敷? 」と思って
しまってもおかしくありません。 
時刻は18:00 頃でしたので、電灯が灯され、ぼーっと暗いオレンジ色に輝く灯りの
君影蔵は、本当にロマンチックです。
今どき、東京にはこういう風情の佇まいの喫茶店って無いですよね。
二へドンは強烈に入ってみたい衝動にかられました。
でも、息子ちゃんには、「 喜多方で本場の喜多方ラーメンを食べる!」と宣言して
自宅を出て来ました。 会津藩の「 什( じゅう )の掟 」の1つに
「 一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ 」と有ります。
父親の出身地・会津に来て、什の掟に背く事は出来ないでしょう。
後ろ髪を引かれながら、ふれあい通りのお店で喜多方ラーメンを食べました。

さて、公約通りラーメンを食べ終え、来た道を戻ります。
先程の「 めしや君影蔵 」の前を通ると、まだ電灯が点いていて、看板も出ています。
最近は新型コロナの影響で、通常よりも早く店仕舞いをする所が多くなりました。
二へドンは半信半疑でお店の中に歩み入りました。

喜多方 めしや君影蔵のコーヒー中の照明は薄暗く、入り口付近
にはギターやコントラバス、その
他種々雑多な物が置かれていま
す。 床には落ち葉の様な物が
溜まっていました。 アップライト
ピアノを右手に見ながら奥の方
に進んで行くと、カウンター席に
男性客が座っており、その話し相
手になっているマスターがカウン
ターの中にいました。 真っ赤な
長袖のシャツを着て、黒いハット
を被っていました。 年齢は分か
りませんが、下手をしたら90歳
は越えているのかもしれませ
ん。 身体は枯れ枝の様に細く、
背中の上部は瘤の様に曲がり前
屈みになっています。 かなりの
高齢の方の様ですが、そんな方
が、実にお洒落な出で立ちで、
たった1人でお店を切り盛りして
いるのに衝撃を受けました。 か
なり高齢の様なのに、カウンター
の男性客とは普通に流暢に会話
をしています。 「 ほら、あれ、
何だっけ? 」みたいな台詞は全
く有りません。
  「 何時までやってます
か? 」と二へドンが尋ねるとマ
スターはこう答えました。「 何時
までやってるって、遅くまでやってるよ。 遅くまでって言っても、外を見たでしょう。
誰も歩いていない。 」 何時までの営業か、ハッキリした時間は分かりませんでしたが、
少なくとも、今はオーダーしても良いと分かったので、席に着きました。
カウンター席の男性は話の内容から常連客の様で、マスターと話が弾んでいるので、
お邪魔にならない様に、テーブル席に座りました。 
メニューは見当たらなかったので、「 コーヒー2つ 」と注文しました。
その時、マスターは先客のコーヒーを淹れていました。
ドリップコーヒーで、上からポットのお湯を注いでいました。
「 うわあ、ハンドドリップのコーヒーだあ。 」
多分これが、二へドンが今まで飲んだコーヒーの中で、最高齢者のハンドドリップ
コーヒーになると思います。 見るとも無しにカウンターの方を見ると、
マスターの姿が有りません。 あれ? と思っていると、マスターが銀のお盆に
お水と紙おしぼりを乗せて、ゆっくりゆっくり歩を運び、二へドン達のテーブル迄
運んで来てくれました。 二へドンは内心焦りました。
邪魔をしない様にとテーブかル席に座ったのに、逆にマスターに遠くまで歩かせると
言う破目になってしまいました。 大人しくカウンター席に座れば良かった・・・・。
お水のグラスの下には丸いコースター。 紙おしぼりは、ステンレスのトレイに
乗せて出してくれました。 全国展開しているコーヒーショップより
ちゃんとしている。 
  テーブルの近くの棚の上に、ipod の様な物が置いてあり、そこからラジオかTVの
音声が流れていました。 ボーンと柱時計が鳴りました。
アンティークな巨大スピーカーが、2階部分の小さなバルコニーに設えられています。
カウンター 7席、6名掛けのテーブル 1 卓、7名掛けのテーブルが1卓です。
何しろ暗くて、バーみたいな雰囲気です。
蔵なので、天井が高く、ちょっとこの雰囲気は現実の物とは思えません。
夢の中か、映画の世界の中の様です。
店内が暗い訳は、蛍光灯と言う物が1つも無いのです。
各テーブルの上に巨大なランプが置かれており、ぼや~っと
オレンジ色に光っています。
  またマスターが姿を消し、暫くすると、よたよた歩いて来てコーヒーを運んで来ました。
空のコーヒーカップ2客と、コーヒーの入ったガラスのポットを持って来て、
目の前でコーヒーをカップに注いでくれました。
店の外の看板には「 温泉原水を使ったコーヒー 」と書かれていました。
まろやかで実に美味しいコーヒーでした。
喫煙OKの店なので、テーブルの上には分厚い石の灰皿が置かれています。
二へドンが居る間は誰も煙草を吸っていなかったので、店内の空気は綺麗でした。
マスターはipod を消し、暫くするとジャズの音楽が流れて来ました。 
二へドンには花柄のカップ&ソーサー。
息子ちゃんには青の植物柄のカップ&ソーサー。
  カウンターに戻ったマスターと、少し会話をしました。
二へドンが4月に死んだ父親を偲ぶ目的で来た事を話すと、マスターは
「 それは長生きされましたね。」
「 会津の男はちょっと違うでしょ。」

この2つの言葉が心に染みました。
何でもマスターのお父様が会津の人で、お母さまは薩摩の人なんだそうです。
「 そういう組み合わせも有る。」 との言葉にちょっと笑ってしまいました。
  コーヒーを飲み終わった後、流石に悪いので、コーヒーカップやお水のグラスを
カウンター迄自分で戻しました。 マスターは「 あ、すみませんね、どうも。」と
快く受け入れてくれました。 時々、「 客が勝手な事をするな。」と怒るタイプの人が
いますからね。 値段も知らずにコーヒーを頼んだのですが、1杯 500円でした。

お店にいた時間は、僅か35分でしたが、この喫茶店での体験は二へドンの人生の
中で強烈なインパクトを受けました。 父親を失った二へドンの前に、父親の故郷
会津で、高齢の老人に出会い、マスターとの会話は、まるで父親と言葉を交わした
かの様なスピリチュアルな体験の様に思えたのです。
お会計を済ませ、店を出ようとする二へドンに、マスターは言いました。
「 お元気で。 どうぞお元気で。
それは、二へドンに対する父親からの言葉の様で、今思い出しても涙が溢れて来ます。
まるで恐山のイタコの口寄せか! みたいな体験でした。
あれは夢だったのでしょうか? 
「 めしや君影蔵 」は本当に存在していますか?
ちゃんと観光マップにもGoogle map にも載っているから存在しますね。(笑)
皆さんも、是非、「 君影蔵 」で懐かしい思い出に浸ってみて下さい。

出で立ちはお洒落ですが、仙人の様な雰囲気のマスターと、会話を楽しんで下さいね。
パンフレットに拠ると、「 君影蔵 」の営業時間は12:00 ~ 24:00 と言う事でしたが、
昼間は別のスタッフが担当しているのでしょうか? 
このお店、ちゃんと後継者はいるのでしょうか?
もしいないのであれば、二へドンが名乗りを上げようかななんて思いました。

喜多方はラーメンだけではありません。
雰囲気たっぷりの蔵造りの喫茶店が随所に有ります。
皆さん、是非、喜多方で自分探しの旅をしてみて下さい。

*****「 喜多方の「 めしや君影蔵 」で不思議な力に惹かれた。」 ・ 完 *****
 






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Posted by ニヘドン at 11:30│Comments(0)珈琲・紅茶
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